昨日、ネットが死んでしまった。

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昨日、ネットが死んでしまった。

牧場物語余録

◆ 昨日の夕方、(子)ヤギのネットが傷だらけにされて死んでしまった。
近所の大きめの犬たち3頭に 寄ってたかって噛み殺されてしまったのだという。

一番可愛がっていたペムは わんわんと子どものように泣き続け、
ゆうべは、「ネットの居ない家には……」と、帰ってこなかった。

兄貴のエーは、ただ黙って、遺体を運び、黙々と墓穴を掘って葬ってやった。
夜、パソコンでネットの写真を探していたら
滅多に要求など口にしないエーが「この写真を 僕にも もらえないか?」と言ってきた。
うん、欲しい人 みんなに焼いてあげようね。

◆ 青年ヤギに成長しつつあるとは言え、子ヤギのノットは、
一晩中、母を探し求めて啼き続けていた。
そういう彼自身も犬に噛まれてしまっており、
今日は獣医さんに化膿止めの注射をして貰いに行った。
母さんのように死なずにすんで良かったね……。

いつもなら僕などが近づいても、遊ぼうとして寄ってくるのに、
ゆうべからは なんだかおびえたように小さく啼きながら
僕から離れていく感じ。

◆ みんなに可愛がられていたネット。
「代わりのヤギ」なんかでは、この喪失感を埋めきれないよ……。


◆ 1年あまり前、
オーイのバイクの後席で僕が抱き抱えて連れてきたのだった。
あんまり小さいときに連れてきてしまったので、
一晩も二晩も、母さんヤギを求めて ひっきりなしに鳴き続け、声を嗄らしてしまって、
ちゃんと育ってくれるのか、心配になったほどだった。

ネットは犬たちと一緒に遊びながら育ったので、
自分はヤギだと思わないまま育ってしまったフシがあり、
群れで過ごす習性があるはずなのに、他のヤギを見ると逃げてしまい、
それでいて、やっぱり高いところは好きで、
気がつくと いつもバイクの座席で眠っていた不思議なヤギだった。

子供たちが学校へ行くときには
自分も一緒に行きたがって、バイクにすがりついてきたネット。

朝のお散歩にも、とことこ付いてきたネット。

自分がお母さんヤギになってしまって戸惑いながらもちゃんと子育てしてくれたネット。

お腹には、2頭目の赤ちゃんが居るというのに、大きなお腹で噛み殺されてしまったネット。
もう、ヤギ小屋にも、どの道にも、どこの原っぱにも、ネットは居ない。
ネット ネットと、呼んでも来ない。

どんなにか苦しかったのだろうね。
包丁で切り裂かれたような噛み傷をいくつも曝して
黒豆のようなうんこをいっぱいひり出す途中のまま、目も閉じないで死んでいったね。

最後のうんこを数粒だけ 拾ってきたんだよ?
ネットが生きていた しるし。

ネットを埋めた赤土には、
もう既に 蟻たちが黙々と巣穴の列を築き始めている。
噛みついた犬どもを もしも八つ裂きにしたところで、ネットは帰ってこないよね。

さようなら、ネットの たましい……。

さようなら。