年に一度の 牛さん品評大会 in ノンルア

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◆ 本会場前で出番を待つ牛さん。
テント毎に見て回る オーイたち。
大量のポスターGETで ニヤつくエーたち。ポスターのごくごく一部。

ちなみに、エーが持っているのは煙草ではなくて、両面テープです。
自分たちの部屋はもちろん、
玄関から 家の外の壁から、そこら中に貼りまくっておりました。

また このように、
赤ちゃん仔牛の付いたポスターもあります。
「ウチの種牛の精液を買うと こんなに耳の大きな赤ちゃんが生まれ、
この子たちを母親として子供を産ませると
きっと 大きくて美しい牛たちが生まれますよ~」という宣伝。

耳の大きくて長ーい牛が、そもそも美しいと好まれていて、
しかもそういう牛が
えてして体格のいい牛に育つ傾向が明らかなのだそうだ。

種付け用の精液は、一回 3千円から1万円見当。


牧場物語余録

◆ 半世紀も前のことになるが、
子供の頃、父に連れられて
空き地に出来たサーカス小屋とか、
見せ物小屋とかを見に行った記憶が蘇る。

ただし、こちらのほうが はるかに明るい雰囲気だ。
連休などの動物園の行楽……以上に明るい。

◆ 大人も子供も、
見渡す限りに立ち並んだテント毎に繋がれている立派な牛の勢揃いに
うっとりとした表情を惜しまない。

無論 牛しかいないのだが、
不思議にも 既に動物園の活気を超えてしまっている。

予備知識のほとんど無い僕のような者にでも、
昨夜から続々とここに集結した牛たちの
迫力とか、凛々しさ、かわいらしさ、美しさが、
見ていくうちにも判ってくる……。

一頭何百万円もする種牛(ででで、でかっ!)。
耳が長くて、いい子を産むに違いない 赤ちゃん雌牛、少女牛、年頃娘牛、初々しい母牛。
白い雄牛。灰斑の牛。茶色い牛。珍しく真っ黒系の牛。
優しそうな顔立ち、懐の深そうな顔立ち、見詰められるとドキンッとしてしまう美形牛。
あるいはまた
いかにもこれから ひと時代を築きそうなキリッと澄んだ瞳の 若々しい青年牛のまなざし。

皆それぞれの気品をたたえて、のっそりと餌の草を食み、
端正に?しゃがんで居たり、子どもに乳をやっていたり……。

うわー……。おおーーっ。う~~ん。
……そうしてついに 言葉を失う。

それぞれ親しい者たちと連れだって歩いている群衆も、そういえば言葉少なだ。
珍しく 例のけたたましい音楽も流れていない!
気がつけば、聞こえているのは、本会場の、
色がどうした、耳がどうした、飼い主がどうした、血統がどうした……
と(多分 言っているに違いない)司会者の弾んだ声だけだ。

◆ 牛たちは だいたいが とてもでっかい!

立派なセントバーナード 実物 (あくまでも実物でなければ!)を見てしまうと、
レトリーバーを「大型」犬と呼ぶことが気恥ずかしくなる、

といった感じの スケールの でかさ がある。

もし これが「牛」なら、
ウチに居るのは 何なんだ???と思えてくる。
ウチにいる牛たちとは とても同じ単語で呼べないような生き物たちの大集合。

その圧倒的な迫力は、
子象ではなく、まるで成人間近の 象のよう なのだ。

グもわお~ぉ~っ!
時折耳にする、鳴き声までも迫力が違う。
びちぶちばちーっ、ブチギシビッッ! もちろん、うんこの迫力も違う。
深緑っぽい 波打つうんこの山の、直径が違う。
通常の1.5倍はありそうだ。突然 Lサイズのピザを思い出す……。

◆ 品評会場自体は、
そう……都会の保育園の園庭そこのけの広さを
運動会のクラス対抗リレーでも見守るような
前のめりのまなざしの群衆が ぐるりと囲んでおり、
モーターショーさながらの へそ出しルックのお姉さんがちっとも場違いでない雰囲気レベルで
恍惚感を漂わせつつ ほとんど無言のままに盛り上がっている。

◆ そして、牛好きたちは、
ウチじゅう、部屋中に ぺたぺたと張り巡らして
これからの毎日を 今日のように うっとり過ごすための
ポスター集め に余念がない。

タイの選挙用ポスターは日本の「遺影」方式で、
同じ党派の候補者は 首だけすげ替えたような ちゃちなポスターを使うのだが、

ここで無料配布されまくる 牛たちのポスターは、並大抵のものではない 。
大人といわず子供といわず、
住み着いた日本人(あ、僕だ)といわず、
「重いからもう要らない!」と言いたくなるほど集めまくっている
このポスターには、おそらく相当 金がかかっている。

ほとんどが、日本のちょっとした「一枚カレンダー」のようにでかく、
何枚も集め始めると
くるくると巻くのにも指が疲れてくるほどの大きさ、重さになる。
これを何十枚も集めて回る。

その表面は、掌にピタッと吸いつくような感触の上質な用紙、印刷。
写真画質も、タイでは、(いや 日本でも そうは配られるものではないな)
ちょっと見かけることのない最高級の写真画質。
ちなみに わがPC机の傍らに貼ってある
YOKO KUMADA のへそ出しカレンダーよりも 更にずうっと良質なのだ。
(○○さん、常夏のタイにぴったりのカレンダーをありがとう~!)

だが、くれぐれも言っておこう。
かくも素敵な 牛たちのポスターなのだが、
実物の迫力や美しさを決して伝えきれては いない!
景勝地の実物 の 波の音、風の音、潮の香りと、
絵はがき、
どっちが好きですか? の世界だ。
ポスター集めに気を取られずに、
顔やら腹やらコブやら しっぽやらを撫でてあげたり、
しばし立ちつくして目の保養をしたほうがいいに決まっている。

◆ せっせと世話する飼い主たちの働きぶりも見逃せない。

まるでタイ人じゃないかのように こまめに面倒を見ている。
虫に刺されたりしないようにと薬でしめらせたタオルで体をこすってやり、
蹄の間の泥を取ってやり、
餌箱の草の位置まで 食べやすいように直してやったりしている。

いや~、今日は 久しぶりに いいものを見た。
うつくしいものを見た。