◆ 『アラジンと魔法のランプ』 アラビアンナイトで泣けちゃった……。

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あらららら~?『アラビアンナイト』で泣けちゃった……。

牧場物語余録

アラビアンナイト』と言えば、
あれは、何かのおりに父が買い与えてくれたものだったのだろうか
小学生の頃に読んだ子供用単行本『船乗りシンドバッドの冒険』のイメージが今だに強い。
挿絵のあるページまで読み進むのを楽しみにしながら 熱心に読んだ様子を覚えている。

主人公が 妻の死に伴い ひとかけらのパンと水だけ与えられて白骨だらけの洞窟に押し込められ【殉死】させられかけるシーンや、
宝の山の山頂から 肉塊にダイヤモンドを埋め込んで
大鷲に我が身もろとも運ばせるシーンなどは、
随分と記憶の深いところに刻みつけられているように思う。

中でも その【殉死】の話などは、
戦争体験記で、沖縄のガマの様子や 熱帯のジャングルを彷徨う話を読む時などにも ふっと蘇ってくるのである。

◆ 次に記憶にあるのが、確か高校生時代ではなかったろうか、
「バートン版完訳!」 とかいうものが出版されて新聞紙上で大宣伝されていたことがあった。
当時の僕は、話よりも肉感的な挿絵に目がいって、毎日のように通っていた本屋の店先で、遠慮がちにちらちらと 挿絵を盗み見ていた記憶がある。

◆ しかし、今にして思えば、
少年向けの単行本は、当たり障りの無い話に限定されたお子様向けの、
しかも おそらく「抄出」「簡約化」「翻案」されたものではなかったろうか?
そして、「バートン版」と言うからには、間違いなく英語からの「重訳」に過ぎない。

……などという思いから、
思いついて文庫本でちょっと読んでみたのである。

講談社文庫『アラジンと魔法のランプ』(川真田純子訳。6話収録)
※ どこにも明記はないが、訳者はアラビア語専攻。アラビア語からの訳本か?

◆ いや~、なかなか面白い!
よくできている。
身につまされる。
ついには 涙が滲んでしまった!
「カマルザマーン王子とブドゥール姫」

すごいなぁ……、
こういう話が 長短1001も集まっているというのか?!
(おっと、わざわざ翻訳者が解説ページで 玉石混淆だ と書いてある)
(※ 訂正!264話のようです。1001夜分。)
「重訳」でも結構! もっとたくさん読んでみたくなった。
(バートン版の「絵」のイメージも捨てがたい!あはは~。)
今回読んでみた文庫本の翻訳者 川真田純子さんの「全7巻本」も在るらしいから探してみようかな。

◆ 短編集としては、日本の『今昔物語』も結構色っぽくて面白いけれど、
所詮は説教臭い説話系が多くて「話として面白い」ものは少ないのではあるまいか。
(すみません。「読み囓った」とすら言えない段階で 結論を出せるはずもないけれどネ)

◆ 日本の古典文学で言うなら、
お話としての面白さは『竹取物語』ぐらいのレベルかな?
あれは「SF小説」のハシリとして
何語に訳してもらっても十分に面白いと思うなぁ。
しかも千年も前の作品なのだから凄すぎる!

でも、あれを読んで泣けるか? というと、
そんなことは まず あるまい。
かぐや姫って むちゃくちゃ冷徹 だもん……。

アラビアンナイト』は凄い!
少なくとも、このところの僕にとっては 凄かった。
……なんだろうかね?